GRACIS

Visibility
視認性

 

自発光マイクロガスライト

ボール ウォッチのアイデンティティとして知られているのが

「マイクロ・ガスライト」を用いた針や文字盤インデックスです。

内側に蛍光塗料を塗布したガラス管にトリチウム(H3)を充填することで

発光するこのシステムは、通常の蓄光塗料にはない特徴を有しています。

蓄光塗料では事前に露光させておく必要がありますが、

マイクロ・ガスライトは自発光します。原理は蛍光灯と同様で、

トリチウムが発する放射線がガラス管内側に塗布された

蛍光塗料に作用し光を放ちます。発光は10年以上にわたり継続し、

その後も少しずつ輝度は落ちていきますが発光し続けます。

10年経過した後にいきなり発光しなくなるということはありません。

また明るさの比較では、従来の蓄光塗料と比べ露光直後は蓄光塗料の

輝度が高いものの、数時間経過した後の明るさはマイクロ・ガスライトの

輝度が高いことが分かります。蓄光塗料は時間単位で輝度が落ちてしまう一方、

マイクロ・ガスライトは年単位で輝度が落ちていくからです。

 

 

 

 

反射防止処理済みサファイアガラス

ボール ウォッチのサファイアガラス風防の内側には、陽光の乱反射を

極力抑えるために一層の「無反射コーティング」が施されています。

無反射コーティングとは反射を低減させて迷光をなるべく除去するために、

ガラスの表面に金属質の薄い膜を作ることです。光がガラスを通過する時に

大部分はそのままガラスを透過しますが一部の迷光がガラスの外側と内側に

反射してしまい、透過光が弱くなるばかりか、ガラスの表面に影が

映りこんでしまうのです。車のヘッドライト、室内灯、あらゆる場所において

文字盤面の視認性を高めるためにこのような工夫もなされているのです。

 

 

 

Shock Resistance
耐衝撃性

セーフティロック

時刻などを設定する時に使用するリューズは、時計の外部と巻き芯を

介してムーブメントをつなぐ重要な部品の一つです。

不意にぶつけてしまう危険度が高いリューズ部分は、耐衝撃性を高めるうえで

最大のウィークポイントです。多くのスポーツウォッチに見られる

リューズガードは、最も弱いリューズの付け根部分を保護するために

設けられていますが、ボール ウォッチ独自の

「セーフティロック・クラウンシステム」は、リューズ全体を保護します。

リューズガードとねじ込み式リューズの高さを揃え、

リューズガードを跨ぐように取り付けたプロテクション・プレートは、

リューズを完全にねじ込まない限り閉じることができません。これは、

ヒューマンエラー(リューズの締め忘れ)による時計内部への汗、水、埃などの

侵入を防ぐだけでなく、外部からの衝撃が直接リューズに加わらないように

設計されているのです。さらに、エンジニア ハイドロカーボンの

耐衝撃テストではリューズがあるケースサイドの3時位置にも衝撃を与え、

業界では稀な3方向からの衝撃テストを実施し、7,500Gsの耐衝撃性を実現しています。

頑強さと安全装置を備えた「セーフティロック・クラウンシステム」は、

エンジニア ハイドロカーボンのアイデンティティといえる代表的なディティールなのです。

 

 

 

 

スプリングシール

機械式時計の調速機構の1つである緩急針はテンプ受け部に設置され、

時計の技術者が修理やメンテナンスの時に、+または-に針を

動かすことでヒゲゼンマイの長さを調整し、テンプの速度の微調整を行ないます。

通常は、時計着用時にこの緩急針が動くことはありませんが、

時計の落下時や強い衝撃を与えた時にこの緩急針が動いてしまい精度に影響を

大きく及ぼすことがあります。そこでボール ウォッチでは、

この緩急針を特殊なプレートで固定し、2本のネジを外さない限り緩急針を

動かすことのできない「スプリングシール」を開発しました。

メンテナンス時には技術者の作業工程が1つ増えてしまいますが、

この設計により衝撃によって緩急針が動いてしまうという課題を解決しています。

 

 

 

 

エラストマー耐衝撃リング

更なる衝撃性能を高めるためにボール ウォッチでは、金属製のインナーケースではなく、

振動の低減や衝撃を吸収する赤やグレーのエラストマー素材でムーブメントを包み込み、

インナーケースとしての役割を果たす「エラストマー耐衝撃リング」も開発しています。

ゴムのような弾力性をもつこのエラストマーは、クォーツムーブメントの5倍以上の

重さの機械式ムーブメントを保護するために硬すぎず柔らかすぎないような

適度な弾力性が求められ、また時計表面(文字盤面)からも見える構造になっていることから

紫外線などによる耐候性も考慮しなければならず、この素材の開発期間だけで1年を要しました。

さらに「エラストマー耐衝撃リング」は衝撃を受けた際に、弾力によって衝撃を逃がすように

時計内部で若干可動できるように設計されており、

それに伴いリューズもその動きに連動する構造になっています。

 

 

 

 

屈強なバックル

独自に設計された両開き式のフォールディング・バックルは、一度ロックすると

1,400ニュートン(約140kg重)もの荷重に耐え、さらに5,000回にも及ぶ開閉検査に

合格し重厚で圧倒的な強度を誇ります。 100分の1mm単位で製造された精密且つ

重厚な作りと心地よい操作感、開閉音が所有する悦びを一層高めてくれます。

バックルを固定する2本の細いピンはろう付けなどの溶着ではなく、

ステンレススティールの塊からそれらのピン形状部分を残すように削り出すことで

加工されています。この加工によって、ピンの強度は全体的に均一となるため

傷や衝撃などに伴い発生しうるピン折れや破損を起こすリスクがほとんどありません。

 

 

 

 

Antimagnetic
耐磁性

シリコン製ヒゲゼンマイ

シリコンは耐久性や弾力性に優れることから、強力なトルクがかかるヒゲゼンマイの

素材として適しているといえます。ケイ素を原料とするシリコンは、

自動車産業やスマートフォン、医療機器などの最先端分野で広く利用されており、

とくに絶縁体チップの素材として使われています。これは電気絶縁性の特性を持つためで、

機械式ムーブメントの心臓部にあたるテンプのヒゲゼンマイをシリコン製

にすることは理にかなっています。さらにUV-LIGA(紫外線露光による転写電鋳)

プロセスで成型されたニッケル-リン製の脱進機(ガンギ車とアンクル)

を採用することにより、磁気耐性に優れる構造を実現。実に、

2,500ガウス(約200,000A/m)の耐磁スペックを誇ります。

従来のファラデーケージとは違い、インナーケースを内蔵する必要がないため、

ケースバックから搭載ムーブメントをガラス越しに鑑賞できる

シースルー化と耐磁性を同時に可能にしています。

 

 

 

 

耐磁インナーケース

耐磁時計は、1950年代に開発された当初は特殊時計の代名詞のように扱われていましたが、

現代ではわたしたちの生活環境のほうが大きく変わってしまいました。

もはや機械式時計の「磁気帯び」は、最もメジャーなトラブルのひとつとなっています。

耐磁時計を構成する方法はふたつあり、まずはムーブメントパーツ自体を磁気帯びしない

素材で作る方法ですが、これはまだまだ一般的とは言い難い状況です。もうひとつは、

内部まで磁気を流さないように、ムーブメント周囲を磁気シールドで覆うファラデーケージと

呼ばれる手法です。このファラデーゲージは磁気の流れをブロックするわけではなく、

むしろ積極的に磁気をシールド内に取り込み、覆われたムーブメントに影響を与えないうちに、

すばやく外部へ流し去るという原理です。これは現代の耐磁時計で最も一般的な手法で、

シールドの断面積や容積が大きい方が耐磁性能を高くすることができます。

ボール ウォッチでは、ムーブメントを覆う複数の部品(インナーケースやベースダイアルなど)

素材に透磁率の高い軟鉄やミューメタルを採用し、それらの部品で磁気シールドとなる

「耐磁インナーケース」を形成しファラデーゲージを実現しています。

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